Hinako Kanasaku
金作 日菜子
Statement / Profile
Bubble Planet
初めて生後間もない赤ちゃんを見た時、私はその存在をまるで宇宙人のようだと感じました。あまりに美しくて、自分と同じ種類の生き物だとは思えなかったのです。
それから数年後に誕生した我が子も、とても愛らしい『宇宙人』でした。
妊娠初期から離乳食が始まるまでのおよそ14ヶ月。無に等しかった存在がおよそ7kgの意思ある生き物になるまでの間、胎内で発生した生命体を構成するほぼすべての成分が私の身体を通して供給されていました。その間の私は、無から生命を生み出し成長させている全能感を持つ一方で、それまで属していた社会から切り離され、閉じ込められ、能力を奪われたとも感じていました。
すくすくと成長し、言語を操り始めた我が子はある日、『〇〇は宇宙から来たの』と言いました。
胎内記憶なのか夢なのか、はたまた空想なのか創作なのか。その区別に意味はなく、子が泣いたり笑ったりしながら以前いた星の話をしているという事実だけがそこにありました。卵子と精子が受精卵となって、そこから細胞分裂をして……という、生物学的に正しいミクロな現実よりも、子が話すマクロな空想の方が、私にとっては圧倒的にリアルでした。
時が経ち、空想は泡のように消え、我が子はずいぶん人間らしくなりました。しかし今でもふと、わたしはときどき「この子はどこからきたのだろう」と考えるのです。
金作 日菜子 Hinako Kanasaku
京都工芸繊維大学造形工学課程意匠コース卒業。在学中に写真を始め、卒業後は広告制作会社に勤務。その後海外での生活を経て、コロナ禍以降は地元・富山を拠点に活動。個人の体験が社会的な文脈に織り込まれる際にこぼれ落ちる細部に心惹かれ、写真を通してそれらを拾い上げ、新たな居場所を与えることで、個人と社会への還元を試みる作品を制作する。