Momo Nakagawa (Grand Prix)

中川 もも

Statement / Profile

clonal images

私は粘菌との共生から「相互に作用する関係性」を学び、それ以来「変容」と「繁殖」をキーワードに、写真を用いたインスタレーションを展開してきました。ある時、自分が撮影した写真をもとに新たなイメージを生成する過程で、私とそれらの間にも同様の相互作用が生じていることに気づきました。以降、私はテクノロジーと共に生み出すイメージを「生命体」のように捉え、「クローナルイメージ」という概念を提唱し、現在もその生成と繁殖の実践を続けています。

クローナルイメージは、クローナル植物のように自身の一部から新たな個体を生み出すことが可能です。個々は独立して見えながらも、その根底は「セルフメンテナンス」という共通のコンセプトで結びつき、データ破損や環境変化といった外的リスクに適応する力と高い繁殖力を備えています。

私たちは今日まで、あらゆるものを分類し、名前をつけることで多様性を構築してきました。しかし、その過程において生じる分類はむしろ曖昧さを排除し、流動的な存在を許容しない社会構造を生み出したのではないかと考えます。私はそのような、固定化された枠組みからの脱却を試みるための手段のひとつとして、イメージの生態研究者、あるいはその繋ぎ手としてクローナルイメージを生み出しています。

クローナルイメージの生成は、撮影・データ移行・画像処理・出力・カット・再スキャンといったプロセスを、母親やパートナーをはじめとする第三者を介して何度も反復させることから始まります。この循環を繰り返すために、写真という媒体は不可欠です。写真はこうしたプロセスの反復によって、アーカイブとして記録を残すだけでなく、再び新しいイメージを芽吹かせることができます。

これまでクローナルイメージは、ギャラリー空間で増殖を続けるだけでなく、壁紙や広告サインとして社会の枠組みに取り込まれたり、絶滅危惧種のように標本化されたりと、環境に応じてその姿を変化させてきました。その在り方は、現代社会において自己の存在を維持するための生存戦略としても機能しており、また、私たちに社会的・制度的な枠組みの中でどのように生き延びていくのかを問いかけているようにも感じられます。

中川 もも Momo Nakagawa

1992年京都生まれ。2025年京都芸術大学大学院 修士課程 美術工芸領域 写真・映像分野修了。Dior photography and visual arts award2025選出。2024年度 京都芸術大学大学院修了展 大学院賞受賞。TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD2023準グランプリ。主な展示歴として、OFF Bratislava curatorial section(PRIOR、スロバキア、2025)、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2025『STUDIO+|拡張する現代写真』(TODA BUILDING、東京、2025)、『clonal images:specimens』(PHOTO GALLERY FLOW、名古屋、2025)、8th Dior Photography and Visual Arts Award for Young Talent(LUMA Arles、フランス、2025)、KG+ pick up『clonal images』(MOGANA、京都、2025)、学生選抜展「DOUBLE ANNUAL2023 -反応微熱 これからを生きるちから-」(国立新美術館、東京、2023)など。

Momo Nakagawa
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