Yuki Kobayashi
小林 優希
Statement / Profile
はこふぃぐめんと
“本来ゴミとなってしまう空箱に「世界」を生み出し、「新しい価値、意味」を与える。”
この作品を目にした多くの人は CG合成で作られたものだと感じるだろう。そこで少しじっくりと眺めてみてほしい。背景の湾曲、背景の継ぎ目、人物と背景の大小差の違和感などに気付くだろうか。実はこの作品は非常にアナログな手法で約2ヶ月の時間をかけ制作している。
手順は、 ミニチュアを作る → ミニチュアを撮影する → ミニチュアの写真を大きく印刷する → 印刷したミニチュアの写真を背景紙 にしてセットを作る → 背景紙の前に自分が立って撮影する の主に5つの工程である。この無駄とも思えるプロセスは、その「世界」にリアリティを生み出すための重要な過程であり、このプロセスを持って初めて作品が完成する。
この作品の原点には幼い頃の遊びがあった。一人っ子の私は何か一つのことに黙々と取り組むことが多かったようで、母から不要になった空箱を与えられては工作をしていたらしく、それは私にとって当たり前のことであった。他者からすればそれはもの珍しく、これまで意識しなかったものを意識するきっかけとなるようだ。それはもしかしたら身の回りを見つめ直す小さな一歩となれるかもしれない。
新しい写真作品のジャンルの構築を目的とし、さらに身の回りの豊かさに気づく小さな手助けとなれればと思う。
小林 優希 Yuki Kobayashi
滋賀県出身。多摩美術大学美術学部情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程デザイン専攻情報デザイン研究領域在学中。学部3年次からオリジナルのミニチュアとセルフポートレートを組み合わせた写真作品をシリーズとして制作している。
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