Xhin Toh

卓杜信

Statement / Profile

ラヤンの凧はすでに遠くへ
LAYANG-LAYANG DRIFTS AFAR

ラヤンラヤン(Layang-Layang)は、マレーシア・ジョホール州にある小さな町です。昔は「ツバメの町」と呼ばれ、無数のツバメが古い街並みに舞う姿が、マレーの伝統的な凧に似ていたことから、この名前が付けられました。

私の子供時代、古い町で大火事があり、多くの家が焼けました。その後、ツバメも人々と同じように少しずつ姿を消していきました。駅は数少ない残った建物のひとつで、百年以上の歴史があり、人々の旅や通勤を支えると同時に、私の青春の思い出にも深く結びついています。

2018年、ジョホール州の鉄道が電化されることになり、沿線の歴史ある駅は改築や取り壊しの対象になりました。そして2020年、故郷の「ラヤン駅」も例外ではありませんでした。

長い間海外で暮らしていた私は、パンデミック後にようやく故郷に戻ることができました。けれども目にしたのは、記憶にある風景ではなく、建設工事や重機の音に変わり果てた町でした。町の姿は知らぬ間に変わり、あるいは消えてしまったのです。今では、あの記憶は私がかつて撮った写真の中にしか残っていません。

町は変わり続けるのに、私は旅人のように時々しか帰れません。記憶や感情の居場所を失った私は、かつて心を揺さぶった糸を写真を通して探し、忘れかけた思いをすくい上げようとしています。

卓杜信 Xhin Toh

1991年、マレーシア・ジョホール州生まれ。現在は台北在住。大学入学前は児童美術教師として活動し、その後、世新大学・広電学系を卒業。台湾の『天下雑誌』でフォトグラファーとして勤務する中で、現代写真について独学で研究を始め、現在はフリーランスの写真家として活動している。日常の中に潜む世界を映像によって探求し続け、ポストフォトグラフィー時代において、自身だけの写真の時間軸を紡ぎ出すことを目指している。

主な活動歴

2024年
台湾「New Wave写真創作賞」受賞、《ラヤンの凧はすでに遠くへ》
2025年
個展《ラヤンの凧はすでに遠くへ》 マレーシア・ジョホール州居鑾
第一回TIPF台湾国際写真祭 出展

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