GC magazine
Statement / Profile
HOT RODDERS “G” 4th Drifting with you
『私の恋∞瞬間∞『螺旋』∞』
現在に至るまで、数々の著名な写真家達は世に出ることない多くのショットから、選りすぐったマスターピースを公開してきました。今日まで残る、選ばれたイメージによる競争は引用の限界を迎えつつあり、ステレオタイプ化したイメージを持て囃すしかない現状にまで至ります。私たちはこの、何を撮っても誰かに似るという状況に対して、どうにか異なる角度から作品を生むことはできないかと試みました。それは写真を撮る、カメラを構える、というもはや本能的な衝動を外的要因に頼らず、メンバー内で自家発電的に終わりなく生成するという行いです。2台の車両がトップスピードで首都高速道路を並走し、一周する。大量のアドレナリンが放出されるなか、互いに写真を撮り合う。この決定的瞬間を自ら無限に引き伸ばす行為により、クラシックながらもエネルギッシュな未知の写真へのアティテュードに出会ったのです。
受賞個展では屋外に構造体を設置。構造体は、ホワイトキューブの展示会場でありながら、天井をガラス張りにし、自然光が入るよう設計。また、車両専用の撮影スタジオを彷彿とさせるよう、全面にアール加工が施される。このように全面から角が失われた空間によって鑑賞時の遠近を不明瞭にする。全体像は車のショーケースのように見せる。構造体の内部には写真作品によってラッピングされた車両が展示されており、壁面にはカラーチャートに使用される色で制作されたレーシングスーツが吊るされている。いかなる天候や時間でも同じ写真が撮影できる。車両に使用される写真作品は、車を押す人々の力んだ表情やその様子を撮影。複数人で手で車両を押しレースサーキット内を走行、ゴールまでの間スチールとムービーを撮影し続ける。これは我々自ら『決定的瞬間』を生成するための行為である。
本作の最大の目的は撮影という瞬間的な行為の背後に潜む膨大なプロセスを労働のモニュメントとして提示することである。もはや画像単体でのコミュニケーションの限界を迎えつつある今日において、視覚言語以外の視点から写真を再考するという私たちのアティテュードは、ブレッソン以降、呪いのように定着した決定的瞬間というフレーズから大きく距離を取る。決定的瞬間のような非の打ち所がないイメージや指先から生まれる生成AI等、それらから漂う背景を見せないという写真における美徳に対してのひとつのオルタナティブを本作で展開し、集団で車を押し続ける中で生まれるエネルギー、またその連続。それら全てが決定的瞬間に値するという考えである。
GC magazine
2020~2023年、東京工芸大学芸術学部写真学科卒。2020年結成。若手を中心としたアーティストコレクティブ。zineの制作、写真を軸としたインスタレーションを展開し展覧会を開催している。GC magazineは、“写真の錯綜と当惑”というトピックを扱っている。コレクティブのアーティストたちは、写真が持つ規範への不満に取り組むための幅広い戦略を提示する。これらには遊び心に満ちたアプローチから、親しみやすさへの新しいアプローチ、技術的な写真の限界まで、多種多様なアプローチが含まれている。
主な活動歴
- 2024年
- 個展 HOT RODDERS “G” 4th Drifting with you『私の恋∞瞬間∞『螺旋』∞』, COPYCENTER, 東京・板橋
- 2024年
- 個展 KILLER “G” 3rd Running alone pushin “G” Big high ACE, PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA, 愛知・名古屋
- 2023年
- 個展 超D-MONHENdS焉, MATTER, 東京·半蔵門
- 2023年
- BUG Art Award セミファイナリスト
- 2023年
- T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO book marche 2023, 東京·丸の内エリア
- 2023年
- 個展 爆業Drive 〜GOの彼方へ〜, koma gallery, 東京·恵比寿
- 2022年
- 有楽町アートアーバニズムプログラム「YAU」, TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCHの一員として滞在制作, 展覧会に参加
- 2022年
- T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO book marche 2022, 東京·丸の内エリア
- 2022年
- 集美アルル国際写真祭 JIMEI×ARLES PHOTOBOOK EXHIBITION「SPACE ON PAPER」, 中国·厦門(アモイ)
- 2021年
- Tokyo Art Book Fair 2021, ART BOOK CO-OP Supported by 富士フイルムビジネスイノベーションのブースより参加