Ng Yun Ki, Jay.
ゴ ジュンキ
Statement / Profile
Autophagy
オートファジー(自食作用)とは、細胞の自浄作用のプロセスを指す生物学用語であり、細胞が古い部分を消費して新しい健康な細胞を生成することで、身体のバランスを保つことを助けることを指す。この体内現象に触発されて、私は破壊と再生のメタファーを人間の行動に結びつけることを思いつき、このシリーズをつくった。
フロイトの『快感原則の彼岸』では、人間の行動がいかに2つの主要な本能、すなわち生命衝動と死の衝動に支配されているかを論じている。人間の行動は、この相反する力の間でバランスを取りながら、天秤のように絶えず変化している。生存と自己破壊は矛盾しているように見えるが、人間の本能の中では共存しており、希望と絶望の関係を映し出している。
私は、オートファジー、特に薬物乱用、自傷行為、乱行、社会的不適合などで人生の難題に向き合っている若い世代に焦点を当ててきた。しばしば社会から間違っているとみなされるこれらの行為は、変容のきっかけとなりうるからだ。
このシリーズでは、彼らの破壊と再生の経験を浮き彫りにしながら、青春の美しさと傷跡を捉え、彼らの葛藤を描いた。絶望を経験することで、希望への理解が深まることは多い。
この作品を見る人が、自身の葛藤を振り返り、逆境の中で新たな可能性を発見し、希望を肯定しながらも絶望を見るきっかけになることを願っている。オートファジーは、表面的には殺伐として見えるかもしれないが、実際は希望に満ちた祝祭なのだ。
ゴ ジュンキ Ng Yun Ki, Jay
2000年、香港生まれ。ピクトリアリズムに根ざした独特のスタイルで、写真とアートディレクションの分野で活躍するアーティスト。夢の中のような神秘的な質感が特徴で、詩的で宗教的なニュアンスも漂う。レンズを通して瞑想と内省を呼び起こし、人生のはかない本質に観る者を誘うことを目指している。作品は、イギリスのFAPA(Fine Art Photography Awards)や欧米の専門誌が主催しているTIPA(Technical Image Press Association)アワードなど国内外の数々の賞を受賞、最終ノミネートに選ばれている。The International Photography and Media Art Festival 2024やAthens Photo Festival 2024にも参加。